土間のある家2
成15年7月に御笠川の氾濫による福岡水害で床上浸水の被害にあったマンション一室の全面改修。「土間のある家」の友人である為、土間の家を見ては「いずれは土間が欲しい」と常々言われていた。
被害にあった翌日、兎にも角にも駆けつけてみると悲惨のひとこと。腰の高さまで(だったか?)浸かっていて床は泥まみれ。どのみち全面改修するならと、土間のある家をマンションでやってみようということに決定。(当時はまだ土間をマンションに取り入れる例が少なかった。)
とかくマンションの間取りはデベロッパーの都合により、使用者の使い勝手など殆ど考えられることなく横並びで変化のないものが多く、その空間に合わせながら暮らしているパターンが殆どである。この住戸も例に漏れず何処にでもある間取りで、更には部屋のそこここに凸凹があり見た目にも気持ち悪いものであった。
この住人のライフスタイルに合わせて更には綺麗な間取りを提案することで、ストレスのない空間に変更した。床材も心臓病を抱えている次男の為に無垢の素材を採用した。
土間は何かと便利に使える空間で、自転車のメンテナンスなど趣味の空間であったり、傘やカッパを干すなど実用的な空間であったり、広くゆったりしている為井戸端話をする空間にもなるのである。土間を介して子供部屋を配置しているので通常であれば子供が学校から帰ってきても気付きにくかったりするが、そこはオーナーからの要望でキッチンからの扉を設けている。コミニュケーションを重視する親からすれば当然の結果で、子供が自立するまでは親の監視下に置かれて当然という意味の扉である。
8年後、再訪する機会に恵まれたのだが、大切に手を加えてもらっているようで、床が良い感じにテカっていた。幾つか手作り家具が増えていたが、テレビボードはまだ拝めていない。。。